精密根管治療
精密根管治療とは
高い技術と最新設備で高精度の根管治療を実現します
従来の「根管治療」は、下の図のように歯の神経や血管が入っている「根管」という管を通る神経や血液が虫歯菌に侵されてしまった際に神経を取ったり、根管内を洗浄し感染を防ぐための治療で、一般的に「歯の根の治療」のことを指します。
このような通常の根管治療は、多くの方が経験されていると思います。 これに対し精密根管治療は、従来の根管治療では治療できず抜歯に至る症例でも、最先端の設備と技術で治療を可能にしたり、治療後の再発のリスクを最低限に抑えるための、より精度の高い治療法です。 近年、従来の抜歯やインプラントを行う前の歯を残すための最終段階の治療として注目を集める「精密根管治療」ですが、この精密根管治療に欠かせない設備であるマイクロスコープの普及率が2%程度であることから、日本の中で行っている歯科医院はまだまだ少ないのが現状です
こんなお悩みありませんか
- 以前、治療完了したはずの歯が痛み出してきた
- 原因不明の歯の痛みが長期間続いている
- インプラント治療をしようか迷っている、または医師から勧められた
- むし歯が歯の神経付近まで進行しているが、自分の歯をのこしたまま治療したい
歯を残すことあきらめないでください
高い技術と最新設備で高精度の根管治療を実現します
根管治療は、患者さんご自身の歯を残すための治療のひとつです。
むし歯が神経まで到達してしまった場合に、神経が通る管(根管)の内部で繁殖した細菌を徹底的に取り除く処置を施し、再び感染が起こらないように、根管を緊密に封鎖します。
原因となる根管内の細菌を可能な限り少なくすることにより、その後は、患者さんご自身の免疫細胞の働きにより治癒していきます。
この根管治療によって、抜歯をしなくて済む可能性が高まります。
根管治療は初めての治療が成功率のカギを握ります
根管治療は最新の設備を導入し、熟練の歯科医師が治療を行っても100%成功するわけではありません。
虫歯の進行段階やそのほか様々な要因により、根管治療の成功率は変わります。
根管治療を成功へと導く第一歩はイニシャルトリートメント(最初の治療)を成功させることが大切です。
リトリートメント(再根管治療)での成功率はイニシャルトリートメント(最初の治療)と比べるとやや低くなります。
当院の精密根管治療の流れ
-
CTスキャンによる精密検査
根管治療を成功させるためには、まずは根管内や顎の骨の状況を詳しく分析する必要があります。レントゲンでは2次元の平面的な情報しか得られませんが、CTを用いれば3次元の立体的な情報が得られ、様々な角度から口腔内の状況を確認することができます。
根管治療の成功率を左右する要素は様々ありますが、特に難症例において「見えない部分を立体的に把握する」CT検査の意義は極めて大きいと言えます。CTスキャンでは、顔全体を360度から撮影します。大量の断面画像を元にコンピューターで3次元化して、様々な角度から分析します。
レントゲン撮影では確認できない、病変や歯の状態を内部の位置関係も含めて正確に確認する事が可能です。 -
マイクロスコープとニッケルチタンファイルを用いた細菌除去
マイクロスコープとは通常の8~20倍に拡大できる顕微鏡です。
マイクロスコープを導入していないクリニックでは、歯の根の長さを測る計測機器、レントゲン写真、手の感覚による手探りの感覚で細菌除去が行われています。
しかし、根管内部は湾曲していたり網状構造になっていたりと非常に複雑な構造をしており、目視では細かな部分まで確認することができません。マイクロスコープを使用すれば、目視とは異なり感染部分を見落とすこともないため、より正確な治療を行うことができます。ニッケルチタンファイルを使用するメリット
ファイルとは根管内側の汚染された歯質の除去を行う治療器具です。ニッケルチタンファイルは、従来のステンレスファイルよりも非常にしなやかなため、歯の根の尖端付近まで根管治療が可能です。
更に、ニッケルチタンファイルを用いると、従来のステンレスファイル使用時よりも短時間で治療を終えることができます。
根管治療では、細菌の侵入や再感染を防ぐために根管充填材をすきまなく詰めることが重要です。そして、根管充填剤をすきまなく詰めるには、歯の根に十分な空洞を作り尖端まで貫通させる必要があります。ニッケルチタンファイルで細菌除去すると同時に歯の根の尖端までしっかり空洞を作ることにより、根尖まで根管充填できるようになりました。 -
MTAセメントとラバーダムで感染予防
MTAセメント
根管内の感染物質を取り除いた後、洗浄・消毒を完了したら、最後に充填材で封鎖を行い、歯髄腔(神経を取り除いた空洞)に感染源が侵入しないようにする必要があります。従来使用されていたガッタ・パーチャポイントと呼ばれる充填材は、成分が一定ではなく軟化温度も安定せず封鎖性が優れません。そこで当院では、封鎖性はもちろん生体親和性に優れたMTAセメントと呼ばれる最新充填材を使用しております。
ラバーダムとは
ラバーダムとは根管治療を行う歯を隔離するために用いるゴムのシートです。
根管治療後の再発を予防するには、根管内部の細菌を徹底的に除去した上で、充填剤で密封する必要があります。
ラバーダムにより治療を行う歯への細菌の侵入を防げるほか、根管治療の際に使用する薬液から粘膜を保護したり、治療に用いる器具の誤飲、誤嚥の防止にも役立ちます。
当院でも再発を予防するためにラバーダムを使用しています。治療中、少し息苦しいというデメリットはありますが、ラバーダムは精密根管治療には無くてはならないものです。
当院の精密根管治療に含まれるもの
-
マイクロスコープの使用
マイクロスコープを使用することで、細菌の取り残しのリスクを最小限にすることができます。
-
ラバーダムの使用
ラバーダムを使用することで、唾液による治療中の細菌感染を防ぐことができます。
-
CT診断
CTを用いることで、レントゲンでは見えない根の断面像や細かい枝別れの部分も見ることができ病巣の早期発見につながります。
-
MTMセメントの使用
-
ニッケルチタンファイルの使用
-
通常の3倍の時間をかけての治療
一回の治療に60分から90分の時間をかけ、時間の制約がない中でじっくりと患者様の歯一本一本と向き合って精密な治療を行っていきます。
根管内が複雑な場合の処置(外科的歯内療法)
根管の中は複雑で根管治療では対応ができない場合があります。当院では根管治療ができない場合でも歯を残すことをあきらめず別のアプローチで病巣を除去します。
- 歯根端切除
- 歯根端切除とは、通常の根管治療では限界がある場合に、歯ぐきを切開し、外科的に病巣を取り除く治療法です。場合によっては、歯根の一部も取り除きます。
この方法は、奥歯など根管がいくつもあり複雑になっている場合などには適さない場合があります。 - 意図的再植法
- 意図的再植法とは、侵されている歯を一度抜歯し、口腔外で病巣を除去し、歯根の一部も取り除き、根管充てんを行って再植する方法です。奥歯など根管が複雑な場合にはこちらの方法が適しています。
根管治療後の被せ物
根管治療した歯の良好な予後には精密な根管治療がなされているだけではなく、その後の土台やかぶせ物の質や精度が重要となります。
根管治療の精度 | 補綴処理の精度 | 成功率 |
---|---|---|
○精密な治療 | ○自費の補綴物 | 91.4% |
△精密ではない治療 | ○自費の補綴物 | 67.6% |
○精密な治療 | ×保険の補綴物 | 44.1% |
×精度の悪い治療 | ×保険の補綴物 | 18.1% |